ネットワークを設定しよう!!

構築中のLinuxサーバー が、固定的に 名前解決 を行う hostsファイル として、
“/etc/hosts”
を編集します。

【書式】
” IPアドレス   ホスト名 ”
行の先頭から最初のスペースまたはTABまでが IPアドレス と解釈されます。 左側のパラメータである「IPアドレス」と、右側のパラメータである「ホスト名」はスペースまたはTABで区切って、一行で記述します。ホスト名はスペースまたはTABで区切って複数指定することが可能です。
キーワードは複数設定可能で、上の行から順に参照されます。 “#” で始まる行はコメント行です。
一行目と二行目はそれぞれ IPv4、IPv6のループバックアドレスに対する名前解決の設定です。
これらの設定は、ユーザーが行う設定とは無関係にシステムが決めるものですから、修正せずにそのまま残しておきます。
構築中のLinuxサーバー をパソコンと同じように一般的なクライアント機として使用するのであれば、 “/etc/hosts”
の設定はこれだけで構いません。
しかしながらサーバーとして運用を行う場合はこれだけでは不十分で、先に  で設定した “web1.○○○.com” というホスト名が、自分自身に割り当てられたされたIPアドレス “192.168.100.11” を指し示すことを、
192.168.100.11 web1.○○○.com web1
と追記し、 構築中のLinuxサーバー 自身が、
web1.○○○.com → 192.168.100.11
及び、
web1 → 192.168.100.11
と自分自身で名前解決できるようにする必要があります。
以前のバージョンのCentOSでは、これに関する設定は自動的に “/etc/hosts” に記述されていたのですが、CentOS6.2では手作業で記述する必要があります。
また例えば 構築中のLinuxサーバー に別の ホスト名 “www.○○○.com” を追加設定し、DNSサーバーに頼らずに自分自身でこの “/etc/hosts” を使って名前解決を行いたい場合は、
“192.168.100.11 http://www.○○○.com www”
のように追加記述することになります。
ところで、 WAN 、すなわちインターネット空間では、普通このような名前解決の仕事は DNSサーバー が担うようにシステム化されています  。
だとすれば、この “/etc/hosts” というファイルの設定はなぜ必要なのでしょうか。名前解決の一切を ISP 指定のDNSサーバーに任せるわけにはいかないのでしょうか。
ここでもう一度、現在構築中のネットワーク構成を思い出してください  。
このネットワークは、 ルーター の NAT + IPマスカレード 機能を使って、 WAN 空間と LAN 空間を切り分けた形になっています  。
というわけですから、WAN空間に設置されているISPのDNSサーバーが名前解決できるのは、あくまでWAN空間に ノード を持つルーターや ホスト であって、WAN空間から切り離されたLANの内部のホストに対しては、名前解決を行うことができないわけです。
従って、こういうネットワーク構成では、なんらかの方法でLAN内部の名前解決をしなけければならないことになります。
このLAN内部に設置するDNSサーバーについては、  で構築の解説をします。 もちろん、LANの中で名前解決を行うためのDNSサーバーを設置するのも一つの選択肢ですが、LANに接続しているホストの台数が限られていれば、それぞれのホスト機に 「固定的な情報としての名前解決の対照表」 を持たせるほうが簡単です。
その対照表が “/etc/hosts” というわけです。
ちなみに、この設定ファイルのループバックアドレスに対する名前解決の設定は、こういう記述になっています。 2行目の “::1” で始まる行は IPv6  に関する記述ですので説明は割愛します。  127.0.0.1 localhost localhost.localdomain localhost4 localhost4.localdomain4
これらはいうまでもなく ループバックアドレス に対するホスト名の記述です。 この “localhost” や “web1” のように、 FQDN 形式ではないホスト名は、本来 UNIX 系 OS が使ってきたもので、現在は WindowsOS や MacintoshOS でも利用しますから、そういうホスト名を参照するアプリケーション動作のために必ず記述しておきましょう。  “localhost” と “localhost.localdomain” というホスト名は、ループバックアドレスに対する「お約束のホスト名」です。 “localhost4” と “localhost4.localdomain4” はIPv6と混在する環境で明示的にIPv4のループバックアドレスを指し示さなければならない場合に予約されているホスト名と解釈してください。
しかしながら自分自身のホスト名である “web1.○○○.com” 及び “web1” も、当然のことながら自分自身を表すループバックアドレス “127.0.0.1” を指し示していても問題はありませんから、特にCentOS5以前の解説書ではIPv4の部分は、
127.0.0.1 web1.○○○.com web1 localhost.localdomain localhost
と記述するように解説しているケースがあります。
ただ実用上、意図的に設定するホスト名については強いてループバックアドレスへの名前解決を行う必要はなく、
192.168.100.11 web1.○○○.com web1
という記述のみで充分です。
余分な設定が多いと、後から ドメイン名 や サブドメイン を追加するときに書き換えなければならない部分が増えて設定ミスを犯しやすくなり、 アプリケーション によっては不都合が出る場合がありますので、ループバックの設定の部分は可能な限りデフォルトのままにしておくことをお勧めします。